フリーランスの私に不満だった母
20代後半で会社員を辞めてフリーランスとなった私ですが、事務所を借りる経済的余裕もなかったので、当たり前ですが在宅ワークになるわけです。
今まで毎朝出社していた子供が、急に一日中家のパソコンに向かっているわけですから、親が不満になるのも理解できます。
自分の部屋で仕事をしていると、時々母が部屋に来ては、
「ねー、あんたいつまで家で仕事続ける気なのよ」
「せっかく大学まで行かせたのに」
など、不満そうにいろいろ言ってきたものです。
法人登記簿謄本を見せたら態度が激変
個人事業主から法人成りしたわけですが、零細企業とはいえ、一応、役職は「代表取締役」つまり「社長」になるわけです。
一応親にも、法人登記簿謄本、会社の印鑑証明書を見せて、ちゃんと法人化したことを伝えました。
ついでに、法人成りと一緒に作成した名刺も1枚渡しました。すると、母がニコニコしながら、
「あんたが社長なんて不思議だわ」
と言ったのを今でも覚えています。
法人化してからも、時々
「ちゃんと黒字が続くように考えてるの?」
「今の内容でずっと儲けられるわけじゃないから、新しい事業とも考えていかないと」
など、いろいろ聞いてくるようになりました。
心配もあるでしょうが、その声のトーンから、嫌な気分ではないのが伝わってきました。
周りに自慢できるらしい?
親も親なりに、子供の状況(仕事の内容)を言わなければいけないシチュエーションはそれなりにあるわけです。
親戚との集い、友人、近所、サークル仲間などなど、自分の子供が話題になることは多くあります。
私は自営業(個人事業主)の期間が数年間ありましたが、何となく知っていましたが、その間母は、周りに私のことを積極的に話していませんでした。
周りの人の子供たちは、やはり会社勤めの正社員であるパターンが多いわけです。
そんな中、「私の息子は部屋でずっと仕事をしている」なんて堂々と言えるわけがありません。
特に高齢の親世代は、「自営業=お店を営んでいる」と考えている人が多いので、いくら自営業とはいえ、部屋に引きこもってパソコンで仕事をしているだけでは、周りに言いにくいのも仕方ありません。
親の世代の人だと、「あの人の息子は引きこもりじゃないのか?」なんて噂が広まる可能性もあるわけです。
そのような状態が数年間続きましたが、法人化したら、堂々と「子供は会社を経営している」と言いやすくなったようです。
相手の子供が、どんなに有名な上場企業の正社員だろうが、弁護士や医者などの高給取りであろうが、不思議なことに、
「私の子供は会社経営をしている」
とは躊躇なく言えるようです。
私の親の考え方は極端かもしれませんが、子供の話題になった時も、積極的に会話に参加できるようになったようなので、結果良かったと思っています。
売り上げや給料を正直に伝えておく
いくら法人化したとはいえ、やはり最低限稼げているかは親として気になるようです。
お金に関する会話が面倒で、親には「大丈夫だから」「心配しなくていいよ」なんて言っても、親としては安心できるわけがありません。
サラリーマンなら、会社名や役職等で、ある程度の年収は予測できますが、自分が会社経営者なら、周りは売り上げや利益等は予測するのは難しいわけです。
なので、おおまかでもいいので、「売り上げはXXXX万円、そして自分への給料(役員報酬)は年収XXX万円ある」というように一言伝えておけば、親が安心できる材料になります。
ちなみに、売り上げが落ち込んだ年があったのですが、正直に親に話してみたところ、「だから独立なんて簡単にするもんじゃないって言ったでしょ!」なんて非難されるかと思ったら、意外にもいろいろ相談に乗ってくれました。
母の「XXXはXXXに行けば手に入るから、あんたがやったって意味あるの? 代わりにXXXしたらどう?」という、さりげない一言でアイディアが浮かび、売り上げアップに貢献してくれたことがあります。
私が社長になったことにより、親も自分の意見やアイディアが直接役に立つかもしれないと思ってくれているのでしょうか、日々アイディアなどのやり取りなどで会話が増えたことも、意外なメリットと感じています。